春の匂いの記憶

【匂い】 は記憶に深く残る ワタシの実家の庭に城をこしらえているアリの一族がいた 死んでいる蛾をコツコツとバラし 自分が仕えている一族の城へと運び込む 城の入り口はそれほど大きくないはずなのに 食糧は城の中へとするりと吸い込まれていく 4歳のワタシは 全く別の世界で生きるものたちを見下ろし 自分が絶対的な力…