勝手にカメラブームに敗北し、立ち直れないでいるオンナ
カシャッ……カシャッ…カシャッ。
携帯電話が普及しまくり
世界がスマホに支配されつつある今日この頃
この音は何処にいても耳にするようになった
ルンルンで出かけて、美味いもんでも食べようとお店に入ると、あの音が鳴り響くのを耳にするのである。
カシャッ
色んなアングルで料理を撮り尽くし
更には、うん十年ぶりにでも会ったのか店員さんに集合写真を頼んでいる
ぁぁぁぁ、すげー
ワタシはいわゆるゴツい見た目の一眼レフカメラを持っている。
そして、いわゆるカメラ女子的なヤツが流行るちょっと前に街中でパシャパシャシャッターを切っていた輩。
その頃は暇を持て余していた時期だったので
カルチャースクールの写真講座に通い
カメラで写真を撮るのが大好きになった。
今までワタシの見ていた鬱屈した世界に色が舞い込み、世界が広がる。
桜の花の色の華やかさ
緑の息吹の眩しさ
激しく肌を刺す陽射しと力強い青空
暮れゆく夕日の壮大さに息を呑んだ
小学生ぶりに公園の遊具に魅せられ
雨の日の世界すらも美しく写る
生きているってこういう事だったんだな。
1日で数百枚撮影するのもザラにあった。
色んな人がワタシの写真をみてくれ楽しんでくれ
人生で初めて自分の感性が認めてもらえた気がする。
そんな中、時代はカメラ女子ブーム
もう、よっしゃ、ムーブメント来た!!
やるしかネェェェ!
オシャレなカメラグッズが揃うお店が増え、カメラ女子狙いの雑誌が増え、一眼レフを持ち歩く女子とすれ違うことも増え……
なんかウキウキしていた気がする。
オシャレ女子は可愛いストラップを付けたミラーレス一眼を首からさげ
ポケットにはスマホ
自撮り棒で自撮りもできる
当然の様に誰もが写真を撮る機能を携帯し
綺麗な写真を撮り
アプリで手軽に加工し
FacebookにTwitter にInstagramに投稿し共有する
ものすごいスピード感………
あれ?
何だかいつの間にかカメラムーブメントに完全に置いていかれていた。
今や、ワタシの愛カメラは黒くて重くてゴツいやつ。カメラを首にかける為の紐には、くっきりと【NIKON】と刻まれている。
ポケットに忍ばせているスマホは、羞恥心から人前ではシャッターを切れない。どうしても撮りたい時は、周りをぐるりと見回して誰もいないのを見計らって撮る。撮影に没頭してる隙を突かれ、突然誰かが来ると慌ててスマホをいじってるフリをしてしまう。
どうした、ワタシ。
何だ、この豹変ぶりは………
時代の流れにうまく乗っている人々が、たのしそうにシャッターを切る音が異様に耳に響く。
そして、ふと思ったのだ。
自分は特別な写真が撮れるわけじゃない。
誰でも綺麗な写真撮れるんだ。
誰でも加工していい雰囲気の写真を作り出せるのだ。
なんかココロがポキッ。
ぽきぽきポッキー
いつの間にか、ワタシの自信は砕け散り
写真を撮ることは誰にでも出来ること。
カメラを持ち歩きたくなくなった。
スマホはネットするための小さなパソコン。
みんなの方が可愛くて綺麗な写真撮れるもん。
自分の写真はなくてもいいかな。
勝手に時代の流れにイジケて傷心しているのだった。
でも、そろそろ立ち直りたいと思うのだ。