たんたんと、たんたんと、

内弁慶の主婦が、坦々としたものごとを、淡々と写真とともにつづる。

可愛げのないお守り

就職が決まり、九州から名古屋へと上京した

 

当時ずっと遠距離恋愛だった彼と近くに居られるようになった嬉しさと

 

新たな生活という不安の折り混ざった複雑な感情

 

そんな気持ちを抱えて向かったのはオシャレなショップがたくさん入っているラシック

 

ずっと憧れていたSKAGENの時計をドキドキしながら手にした

 

私にとっては必要最小限の機能であり

 

薄いけれどステンレスの重さを感じられ

 

腕にしっかりいてくれる安心感が気に入った

 

出勤前に玄関から出ながら腕に巻きつけ留め具をカチッとする

 

30日から1日になる時にはクルクルとネジを回してあげる


今年風に言えば それがわたしのルーティーンだった

 

ある日、お客さんに「いい時計ですね」と言われたのだが

 

嬉しすぎて照れてしまい全く会話が弾まなかった

 

嬉しい時もミスった時もテンパっている時も常に一緒にいてくれたのは”彼”だった

 

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結婚しわたしの腕を守っていた”彼”のかわりに


格安のステンレスの輪がわたしを守ってくれるようになった

 

いつしか”彼”の電池は止まってしまい


しかし使うこともなく棚の隅っこにいる姿を、トイレに行くたびに視界の端っこで確認するのであった

 



今日”彼”は864円で一定のリズムを刻み始めた

 

昔と変わらなさすぎて思わず懐かしさが込み上げる


今日からはお守りが2つ


どちらもステンレス製で可愛げはなく


864円とうん千円(?!)のたいした価値もないものなのに

 

とてもしっくりくる


無意識に彼らを触り安心し


胸がバクバクするような場面では”彼ら”を握りしめるのだと思う

 

わたしにとっては神様よりも頼もしい存在だったりする