タンポポ、綿毛 ー影の写真ー
かい十(2歳)はタンポポの綿毛がお好き。
真ん丸くて
キラキラきらめいていてる
ふわっふわなやつ。
しかし、今年のタンポポは旬を過ぎたらしく、なかなか見かけなくなった。
ほんの数週間で姿を潜めたタンポポ。
タンポポは潔い、
一瞬で花を咲かせ種を風に託すのだから。
そこにタンポポの覚悟を感じる。
人間は一般的には十月十日かけ、ゆっくりと覚悟を決め育んでいくのだから
タンポポの潔さには全く敵わない。
いつもと違う道を散歩していると
旬を過ぎたタンポポの綿毛を発見した。
かい十は嬉しそうにタンポポの綿毛をむしり取り、無造作に投げる。
投げられた綿毛はユラユラリ
風と地球の重力に身を任せ
音も立てずアスファルトの上に降り立つ。
ここでもタンポポは潔く、
静かに自分の生きる運命を受け止める。
彼らはあのふわふわの姿からは想像つかないほどに、強く儚く潔い。