たんたんと、たんたんと、

淡々と坦々と綴る日々

植物遍歴


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小学生の頃、庭にヘチマの苗を植えた。

(私の故郷ではヘチマは夏野菜として食卓に登場する)


そして、小学生のわたしは、翌朝、ヘチマの様子が気になってすぐに庭に出るわけで。


夜中雨が降ったらしく、翌朝地面は水分をたっぷり含んでいた。


雨上がりの土の上は、生命力が漲っている。


昨日ヘチマを植えた場所に目をやるわたし。


なぜかヘチマの苗は見当たらない。


ヘチマの苗が歩いて散歩する訳もないし、脱走する訳もなく。


でも、植えたはずの苗は見つからなかった。


おそらく一晩でカタツムリか巨大なアフリカマイマイあたりに食べ尽くされたのだと思う。


それ以来、植物を育てることに後ろめたさを感じている。



高校生の時には、友達から誕生日プレゼントにエアープランツを貰って、結構大事に育てていたのだが



ある日、なぜかトイレの便器に落としてしまった。



なぜトイレにエアープランツを持ち込んだのか今となっては謎なのだが



それ以来、心なしかエアープランツは顔色が悪くなり、枯れていった。



そして、最近では、5年前に買った小さなパキラ(生命力の強い観葉植物)を枯らしてしまった。


陰気臭い場所に置いていたら


葉が枯れ去り、水も与えなかったもんだから干からびてしまった。


酷い。ほんと酷い女だ。


枯れてしまった後に罪悪感がふつふつと湧き出てきて直視することもできず、


しばらく枯れたままの姿をごめんねと思いながら眺めた。


先日、ついにそのパキラを土から掘り起こした。


細い根を小さな鉢いっぱい張り巡らしていた。

きっと狭い思いをしていたのだと思う。



こんなにも植物を育てることに後ろめたい思いを抱いているのに


今は狭いベランダにプランターを置いて


バーベナとブルーデイジーを育てている。


かい十(2歳)が初夏頃、花屋で選んでくれたのだ。


最初は好調に花を咲き誇っていた彼らも


数週間前からバーベナが枯れきっていた。


またか…と過去の苦い経験が脳裏をかすった。


でも、なんとなく枯れている枝や葉を取り除き


スーパーで100円で売っていた置肥をパラパラと撒き


たっぷり水をあげた。


それだけで、数時間後にはバーベナから生きている雰囲気が伝わってきた。


翌日には青々とした小さな葉を出していた。


おお、小さな芽が、めちゃんこかわいい。


植物を育てることは予想していたよりも難しいことじゃないのかもしれない。


必要なちょっとしたコツは、対話だったんじゃないかと思う。


植物の顔を見て、心地よいことをしてあげる。


ただそれだけで良いのかもしれない。


小さい頃からずっと心のどこかで色んな植物を育て囲まれて過ごしたいと思っていた気持ちが


今少しずつ動き出している。



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